瀬戸内海の燧灘に面した有明浜は観音寺市民の憩いの場です。干潮時には2kmにわたって、干潟が姿を現します。南北に続く砂浜には海浜植物の大群落があり、1969年には市指定天然記念物「有明浜の海浜植物群落」として指定されました。

◆有明浜の海浜植物

 

花期3月中旬から5月中旬

ハマダイコン(アブラナ科)

春に有明浜でよく見かける。淡紫色から白色の花を咲かせる。背が高いことからよく目立つ。野生のダイコンが逃げ出して野生化したものと言われ、根は太くかたい。有明浜の海浜植物の中で、春一番に花をつける。和名「浜大根」。

 

花期4月上旬から5月下旬

コウボウムギ(カヤツリグサ科)

葉、茎、小穂共に堅い。雄株の小穂は花粉を飛ばすと枯れる。雌株の小穂は麦穂に似ている。別名「筆草」と言い、書道にゆかりのある弘法大師に由来している。和名「弘法麦」。

 

花期4月上旬から5月下旬

アツバスミレ(スミレ科)

スミレが海岸型に変化したもの。日本海側にあるものをアナマスミレ、瀬戸内海・太平洋側にあるものをアツバスミレと言う。和名「厚葉菫」。

 

花期4月上旬から5月下旬

ハマエンドウ(マメ科)

春の砂浜を彩る。春にいちばん元気で夏には葉が減る。地下茎を長くのばして繁殖する。赤紫色の蝶形花をつける。円形の旗弁は初め赤紫色で後に青紫色に変わる。和名「浜豌豆」。

 

花期4月下旬から5月下旬

ヒメケフシグロ(ナデシコ科)

ハマフシグロとも言う。

有明浜に自生する希少種。フシグロの変種。ほんのり薄いピンクの小さな花が茎の先につく、非常に地味な花。和名「姫毛節黒」。

 

花期4月下旬から6月上旬

スナビキソウ(ムラサキ科)

葉、茎と共に柔らかい毛で覆われている。有明浜では汀線近くに群生が見られるが、環境の変化に敏感で、人の出入りが多い場所から徐々に姿を消している。和名「砂引草」。

 

花期5月上旬から8月下旬

ツルナ(ハマミズナ科)

漂着物の多い場所に生える、また防潮堤の脇など浜の後ろの方にも生える。ゴミがたまっているような場所に多い印象があるが、そういう場所に種子が流れ着きやすいからか。葉は食用にされ、地域によっては流通していた。

 

花期5月上旬から6月下旬

ハマヒルガオ(ヒルガオ科)

葉はほぼ円形で、厚く艶がある。花は朝に開き夕方まで咲く。花の中央の黄色い部分にある5つのくぼみに蜜がある。

 

花期5月上旬から6月中旬

ハマウツボ(ハマウツボ科)

香川県内では、有明浜だけに自生が確認されている。葉緑素を持たない寄生植物で、キク科の植物に寄生することが多い。和名「浜靭」。有明浜ではカワラヨモギに寄生する。和名「河原蓬」。

 

花期5月上旬から6月下旬、9月中旬から10月中旬

ハマニガナ(キク科)

地下茎が砂中をはい節々から葉と花を出す。直径2~3センチの黄色い花をつける。和名は「花苦茎」、別名をハマイチョウと言う。有明浜全域の波打ち際近くで見ることができる。

 

花期5月上旬から8月下旬

ハマボウフウ(セリ科)

有明浜を代表する海浜植物のひとつ。葉は厚く、表面に艶がある。茎の頂に小さな白い花をたくさんつける。果実は変化しながら熟していく。

 

花期7月上旬から8月下旬

ネコノシタ(キク科)

葉っぱは厚く硬い毛が生えていてざらつくことから、ネコノシタ(猫の舌)と名前がついた。茎は長く分岐しながら砂浜を覆うように群生する。和名「猫の舌」。

 

花期7月上旬から8月下旬

ハマゴウ(シソ科)

落葉性の低木で茎は砂上や砂中を長く這う。有明浜を代表する植物で浜辺一面に群落する。また、シロバナハマゴウは県内では有明浜だけに見られる。観音寺周辺ではホウの木と呼ばれる。

 

花期8月下旬から10月上旬

ウンラン(ゴマノハグサ科)

香川県内では、有明浜だけに自生が確認されている。茎の先に数個の黄白花で仮面状の花をつける。和名「海蘭」。

 

本ページ及び詳細ページ

参考:有明浜の海浜植物

参考:潮風に吹かれて 有明浜の植物たち